citta' di colore

“The Power of Landscape & Color”

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仏教によるテイスト 〜若冲展 in 相国寺〜

見所が多い「若冲展」。
僕のように“素人”であっても、
「動植綵絵」や「釈迦三尊像」など、
眺めてるだけでも十分楽しめます。

でも、でも。

学芸員の村田氏から聞いた話は、
これまでに意識したことがなかった
“仏教的な観点”からの説明。
とても新鮮であったと同時に、
これまで純粋に絵画として鑑賞していた若冲の作品から、
色々なメッセージを受け取ることができました。
絵画に潜む謎や、絵画からのメッセージを楽しむ僕にとっては、
まさに“至福の時”。(笑)

通常鑑賞では、学芸員の方から説明を受ける機会は、
なかなかありません。
そこで、先日のプレビューの際、僅かではありますが、
色々と興味深い話をお聞きしましたので、
「若冲展」鑑賞の際の一助になればと思い、
僕の考えと併せて、ここでちょっと記事にします。


「若冲展」〜釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会〜
会期: 2007年5月13日(日)〜 6月3日(日)
会場: 相国寺承天閣美術館
開館時間: 午前10時 〜 午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日: 会期中無休




その前に。
え〜、じつはですね〜。
メモ、落としちゃったんですよ… どこかに(苦笑)。
せっかく、頑張ってメモしたのに…
ということで、記憶を頼りに記事にしております(笑)。



■ “仏教信者としての若冲”
  若冲は、江戸時代の京の画家です。
  と同時に、若冲は、敬虔な在家の仏教信者でもありました。
  あまり知られてないですよね。
  名著『奇想の系譜』においても、
「仏門に深く帰依し、頭を剃り、肉を口にせず、妻帯も拒むほどの精進ぶりであった」
  とあるだけですし。

  でも、「若冲」とは、親交の深かった相国寺の大典禅師から与えられた
  居士号(「居士」は、在家の仏教信者のこと。)なのです。
  ですから、本名ではないのですね。
  このように、若冲を画家としてだけでなく、
  仏教信者として認識することは、
  「動植綵絵」を理解するのに重要
なのです。

  
■ “宗教画としての「動植綵絵」”
  眺めているだけでも十分な「動植綵絵」ですが、
  仏教的な意味合いも多く含んでいるようです。

  例えば、30幅の並び順にも意味があるようです。
  今回の展示に当たって、注目を浴びたのが並び順
  並び順については、江戸時代当時の資料がなく、
  今回の展示のために、検討されたようです。
  あくまでも宗教的な観点からの並び順です。
  
  中心に展示されている「釈迦三尊像」の両隣には、
  それぞれ“孔雀”と“白鳳”の図を。
  これらの配置には、迷いがなかったそうです。
  御釈迦さんの隣ですから、順当と言えますね。

  その隣には、“ボタン”と“芍薬”の図を。
  ボタンは、「花の王」であるとのこと。
  芍薬は、「花の宰相」であるとのこと。
  芍薬の図に記載されている蝶は、来客を示しているそうです。
  
  そして、「動植綵絵」は、それぞれ左右が“対”になっています。
  つまり、正面真ん中に展示されている「釈迦三尊像」を軸として、
  左右対称でそれぞれ展示となっているわけです。
  ですから、1幅ずつじっくりと鑑賞しても良し、
  両方を比較しながら見るのも、また違った感動があるかも?
  先ほどの「孔雀と白鳳」や「ボタンと芍薬」もそうですし、
  「蛸と鯛」、「菊と紅葉」などなど。
  この“対の妙”を楽しむことは、また格別です。

    (「釈迦三尊像」の左側)


    (「釈迦三尊像」の右側)


■ “親孝行”
  対になっている「群魚図」。左側の「群魚図」は鯛が主役ですが、
  右側の「群魚図」は蛸が主役。


  (右の絵画が「群魚図」(蛸))

  鯛が主役なのは理解できますが、蛸が主役というのは、
  ちょっと不思議。
  その理由に近づくヒントは“親孝行”です。
  
  京都には、「蛸薬師通り」がありますが、その名前の由来は、
  「親孝行」をテーマとした逸話です。
  じつは、若冲の家は、この蛸薬師通りの近くにあったそうです。
  若冲は、父親を早くに亡くすなど、十分に親孝行したとは言えない。
  そこで、蛸を主役にした絵画を、
  相国寺に寄進する「動植綵絵」として描くことで、
  親孝行をしようとした
のではないか、と。
  
  仏教的な見地。
  村田氏の私見ですが、思わず納得してしまいました。


■ “多数の中の異”
  「動植綵絵」の中には、数ある動植物のうち、
  “一つだけ”違うカタチで描かれているものが存在しています。
  
  例えば、「薔薇小禽図」。


  (左の絵画が「薔薇小禽図」)


  たくさん描かれているバラのうち、絵画上部にある真ん中の白バラだけは、
  じつは、裏にして描かれています。

  そして「池辺群虫図」。
  左を向いている蛙の中で、少し離れたところにいて右を向いている
  一匹の蛙。

  この“異”、じつは若冲自身を示しているのではないか、と。
  多彩な色彩やデフォルメなど、絵画の表現技術が、
  同時代の画家とは明らかに違う若冲。
  もちろん、若冲自身も意識していたはず。
  その“事実”を若冲自身も理解していたはず。
  だからと言って、若冲の作品が、他より劣っているわけではない。
  そういう若冲の置かれている状況を、「動植綵絵」において
  表現したのではないか、と。

  『奇想の系譜』の中で、“奇想の画家”として扱われている若冲。
  もちろん、著者の辻氏も、“奇想の画家”を亜流としてではなく、
  本流として紹介されています。

  “多数の中の異”は、伊藤若冲のプライドの表れなのかもしれません。


■ “陽射し”
  「紅葉小禽図」には、日光が描かれています。
  2羽描かれている小鳥のうち、下にいる小鳥を中心にして、
  絵画の左上から右下に向かって、約20センチ幅で背景色を濃くすることで、
  斜めに陽射しが差したように、描かれています。
  図録でも確認できますが、ぜひ実物でご確認ください。



色々書きましたが、如何でしょう?

僕にとって、一番の“仏教によるテイスト”は、なんと言っても
“僧侶”の方の存在と“御香”の香りです。
展覧会を観に行って、こういうシチュエーションは、
通常ありえませんから。
さすがは、相国寺内にある美術館です。

“僧侶の方の存在と“御香の香り”が、
気分をさらに盛り上げてくれること、間違いなしです(笑)。


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COMMENTS

Posted by meme  at 2007/05/17 8:58 PM
今回の記事も興味深く拝見いたしました。
とっても読みやすい文章で、すんなり自分の懐に入ってきます。

「お香の香り」は私もとっても気になってました。
美術館に足を踏み入れた瞬間、芳しい香りが漂ってきて最後までその香りに癒されていたような気がします。
私のブログではそのことを書き忘れたので、らすかるさんが取り上げて下さって嬉しかったです!
Posted by matsu-hyou2  at 2007/05/17 11:06 PM
メモをなくしながら、すごい記憶力ですね・・
と・・メモ??<此処で私の脳裏に閃いた記憶が・・
鑑賞が終わって、2階に戻ってお話を聞いたあと・・
「ん?」会議室向かって左側の前のほうのテーブルにメモ書きした紙が・・
「どなたかお忘れ物ですよぉ・・」と呼びかける私の声に誰も答えるものはなく・・・
しかたなく、タカバシさんにお渡しして置きましたが・・ひょっとして・・あれだったのかも・・
そうだったとしたら、外でもう一度確認すればよかったかなぁ・・ゴメンね。
Posted by らすから/管理人  at 2007/05/18 12:16 AM
memeさん、こんばんわ。
褒めていただき恐縮です。
どうもありがとうございます。とても嬉しいです。

「お香の香り」は、気になりますよね(笑)。
通常の展覧会では、“あり得ない”ですもんね。
若冲が作画していた時には、当然こういう日常生活の中においてですから、
できる限り同じシチュエーションで鑑賞することは、
とても重要なことだと思いました。
こういうシチュエーションでの鑑賞は、
「動植綵絵」の鑑賞を、さらに楽しませてくれるでしょうね。

僕は、memeさんの評価に、癒されましたよ(笑)。
Posted by らすから/管理人  at 2007/05/18 12:21 AM
matsu-hyou2さん、こんばんわ。
あまりにも強烈な印象を受け話でしたから、
けっこう覚えていますが、ただ、細かい話までは覚えていません…
ですから記事も、細かい話までは書けてません…
かなりメモしていただけに、残念です…

そのテーブルは、まさに私が座っていた席です(苦笑)。
私は、最初と最後、いずれも同じテーブルでした。
やはり、そこで忘れていたんですね。
私は、A4の紙に、メモしていました。5枚に、です。
ちなみに、ピンクのロングTシャツに、黒系のズボンでした。
残念…(笑)
Posted by MaMiMu  at 2007/05/19 11:11 AM
プレビュー参加したMaMiMuです。
それぞれ対になっているのですねぇ。写真を撮る、話しを聞くのに専念して
そこまで気づきませんでした。今度いったときはじっくりみようと思います。
Posted by らすから/管理人  at 2007/05/19 10:22 PM
MaMiMuさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。
これだけ描くだけでも大変だと思うのですが、
さらに“対”にしてセットにしているなんて、感心しますね。

また鑑賞されるんですね。
僕も行きたいですよ(笑)。
Posted by ofuu  at 2007/05/25 4:35 PM
ご無沙汰しましたm(_ _)m
らすからさんのご忠告に従って(笑)
先週からブログを自粛して体力回復に努めまして
やっと少し元気が戻ってきました。
ほんとに今頃の風邪はしつこいですねぇ。こりごりです。

お休みしている間も時々覗かせてもらってましたが
今日あらためて「若冲展」の記事をじっくり読み返しました。
羨ましい!私も観たい!というのが素直な感想ですが、それはおいといて(笑)
この記事の“仏教的な観点”で思いついたことを・・。
勝手な感想で恐縮ですが(汗)

最初の解説で、釈迦三尊像と動植綵絵が、永代供養を願って相国寺に
寄進されたと知り、まず思ったのが若沖の信仰心の強さでした。
自らの作品で永代供養を願う。なんてまぁ贅沢なことだろうとまず驚き羨み
篤い信仰心なくては出来ないことだと感銘を受けました。
釈迦三尊像はもちろん仏画ですが動植綵絵も正に宗教画なのですね!

つい最近、主人と「何故日本人は印象派絵画が好きなのか」と
そんな会話をする機会がありまして、理由の一つとして
西洋絵画の多くは宗教画だけれど印象派は違うからではないか?と
そんな意見が出ました。
西洋の宗教画はキリスト教を知らないと理解しづらいですよね。
供養という目的をもって描かれた若沖の作品を深く理解するには
仏教的な意味を知ることも大切なのかなと感じました。
学芸員さんの話を聞けるなんて、素晴らしい幸運でしたね。
教会の天井画や壁画がそこにあってこそ価値があるのと同じように
動植綵絵も相国寺に釈迦三尊像と並んであって意味があるのでしょうね。

・・と勝手なことを書かせてもらったのも
恐らく実際には観に行けないものを教えていただいた感謝故です。
詳しい記事を色々と有難うございました。
それにしても・・羨ましい〜(笑)
Posted by らすから/管理人  at 2007/05/27 12:14 AM
ofuuさん、こんばんわ。
もう大丈夫ですか?
今春の風邪は、とても強力でした。
職場でも、未だに咳が流行っています。

「若冲展」の記事、なかなか大作でしょう?(笑)
読むだけでも、大変だったのでは?(苦笑)
しかし、じつはこれで終わりではありません(笑)。
まだまだ続くのです(苦笑)。

印象派の解釈の話は、面白いですね。
印象派は、それまでの絵画とは一線をひく、画期的なものです。
それまでのメッセージ性とは明らかに異なる作品が、
印象派のような気がします。
もともと、絵画に潜む謎や受け取るメッセージを楽しむ僕としては、
だからこそ、印象派の作品は、少し物足りない気がするのですが(苦笑)、
裏を返せば、歴史的な背景等を知らなくても楽しめる作品が、
印象派と言えるのかもしれません。
西洋特有の歴史や背景などに疎い日本人(疎いことは当然ですが。)には、
印象派の方が馴染みやすい作品だといえるのでしょう。

僕が、印象派の前のルネサンス期の西洋画を好きになったきっかけは、
以前にも記事にしましたが、
高校生の時に世界史の勉強をしたことです。
つまり、歴史的な背景を勉強していたところ、
その派生で絵画に興味を持ち始めたわけです。
ですから、絵画に興味がある人が背景を勉強するパターンとは逆なので、
私の場合、入りやすかったのかもしれません。

仰るとおり、西洋画は、キリスト教がベース。
また作品が描かれた時のシチュエーションや歴史なども、
知っていないと楽しみが半減してしまいそうです。

そういう観点で言えば、
若冲の作品は、仏教(禅宗)の知識や背景が不可欠だと思いました。
これまでは、どちらかと言うと、
オリジナリティ溢れる表現技術にばかり、注目が集まりやすかったですが、
(つまり印象派の鑑賞的な楽しみ方)
そうではない、西洋画っぽい見方が必要になりそうです。
もともと、他の日本画と違い、若冲の作品や
“奇想の画家”と呼ばれる画家の作品は、
そういう見方ができると言うことで、僕もこの冬から興味を持ち始めたので、
今回の村田学芸員による解説は、至福の時でしたよ(笑)。
だからこそ、ofuuさんの仰るとおり、相国寺で鑑賞することには、
とても意味があるのだと、僕も思いました。
そういう意味も含めて、僕は幸せもんです(笑)。

まだ、興味深い話が残ってるんです。
今回の先行プレビューで、一番印象に残った作品についてです。
楽しみにしておいてください(笑)。

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