citta' di colore

“The Power of Landscape & Color”

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良いものは、やはり、良い。

先週のとある日。
私の職場に一本の電話があった。
地元で有名なイベントの実行委員会の人からだった。

その内容は、
今年は、川の中でバンド演奏をやろうとしているので、
行政に対し、交渉をしてほしいというものだった。
我が支店は、行政に対する手続きや交渉の代行も行っているので、
そういう話が僕の職場に飛び込んできたわけである。



驚いた。
とても驚いた。

話は、9年前に遡る。




/////////////////////////////////////////////////////////////////


この川は、川幅6m、深さ2m程度の小さな川。
通常の水量は幅2m分ぐらいしかない。


この川の流域の地区においては、古い街並みの他、
室町時代に西日本や京の都を支配するまでに至った大内氏に関連する史跡や、
明治維新に関連する史跡が一部残っている。
これに加え、この付近の川の景観が整備されていることから、
山口市において屈指の観光名所となっている。

この周辺で、年に1度2日間、秋に開催されているイベント。
この付近の民家やお店など約60軒を手作りの小さな美術館に見立て、
様々な展示品を公開したり、ミニ・イベントを開催するというもの。
今年で12回目を迎えるこのイベントは、
行政や企業主体ではない、住民主導の手作りによる街づくりイベントとして、
今ではすっかり市民の間に定着している。



僕がUターンした翌年に1回目が開催されたこのイベント。
2回目を開催するにあたり公募されていたスタッフに応募し、参加した。
僕が所属したのはイベント部会。
たくさんのミニ・イベントを企画・実施するための部会。
当時フリーターだった僕は、有り余る時間を有効に活用し(苦笑)、
このイベントの成功に尽力した。


そして、翌年の3回目。
実行委員会幹部から、イベント部会の会長をやってほしいと頼まれた。
今の会社への就職も決まっていたし、難色を示したが、
人がいないということなので、仕方なく引き受けた。

僕がリーダーを引き受けるにあたり、心に決めたことがあった。
それは、“ありきたり”のミニ・イベントではなく、
この街を誇りに思うことができるような、来場者の心に響くミニ・イベントを、
企画しようと。

イベント部会内において、いくつか良いアイデアが出た。
それを実行委員会で発表したところ、案の定、猛反発を食らった。
斬新過ぎるとか、周囲の理解を得られないとか、
この街の景観にそぐわないとか。
しかし、僕が思うにそれらの意見は、ほとんどが的外れだと思った。
保守的な人間たちには、企画したミニ・イベントの良さが伝わらないのだろうと。
だから、何とか実現させようと、孤軍奮闘の日々が始まった。



そのうちの一つに、この川の中にあるちょっとした河川敷で、
ジャズバンドの演奏をやるという企画があった。
僕としては、目で楽しむ景観イベントに対し、
音のテイストを加えるこのイベント実施することで、
“この美しい景観を、目と耳で楽しむことができる”、
“この美しい景観をさらに利用したイベントになりうる”、
“ジャズという、これまでにないこの街の新しい魅力を、提案できる”、と。

当然の如く、実行委員会で反対された。
「ジャズは、和をテーマとするこの街の景観に合わない」
「景観の良さを生かすどころか、殺してしまう」
「バンドの音がうるさいので、静かなこの街にマッチしない」。
じつは、この河川敷で、春には琴の演奏が行われている。
景観にマッチする、という理由で。
反対者の中には、琴の演奏を推進している者もいた。

僕としては、
この企画を僕に持ち込んだ40代男性スタッフの考えに共鳴していたし、
その男性スタッフの人も、僕の街づくりにかける想いを理解してくれていたので、
何が何でも、この企画を実現させようとした。
その男性スタッフの方から、
「あなたがリーダーだから、この企画を提案することにした。
 あなた以外だったら、実現が無理でしょうから。」
と言われていたことも、僕の“原動力”となる。

反対する実行委員会の幹部に対し、
今年をもって、このイベントから引退すると告げた。
今年のミニ・イベントについては、全て僕が責任を持つとも告げた。
だから、この企画をやらせてほしいと告げた。

徐々に賛同者が増えていってくれた。
ジャズバンドの機材に必要な電気も、
近くの旅館が貸してくれるという申し出もあった。




それでも反対者多数の中で迎えた当日。
僕の心臓がドキドキする中、いよいよ演奏が始まった。
その結果は…



川の両サイドにある幅3mの道が、大勢のギャラリーで埋まった。

皆、音だけではなく演奏の様子を見ようと、
川の中にいるバンドの方へ、視線が向いている。
穏やかな秋晴れの下、風情のある街並みに流れる、ジャズの音色。
恐ろしいほど、マッチしていた。

そのうち、バンド演奏を見ていた欧米人の夫婦3組が、
その演奏に合わせて、路上で社交ダンスを始めた。
その光景を見ていたバンドの人たちも、笑顔で演奏を続ける。
普段は見ることができないこの“非日常的なシーン”に
釘付けになる日本人ギャラリー。
みんな、楽しそうだった。



30分程度の演奏の終盤。
この企画を僕に持ち込んだ男性スタッフが、
片隅で演奏を見守っていた僕を見つけて、やって来た。
男二人、無言で力強い握手をした。

演奏終了後、たくさんのギャラリーから、
バンド演奏者に対し、大きな拍手と歓声が送られた。



不覚にも、目が潤んでしまった。



/////////////////////////////////////////////////////////////////



“何も知らない振り”をして、話を続けた。


「昔、そういうバンド演奏を企画されたことがありますよね?」

「ええ。確か、8年ぐらい前に1度やっています。
 それ以来、久しぶりにやりたいと考えているんです。」


その人は、手続きを僕に頼んできたわけで、
僕が、当時のイベント担当者だとは、知る由もない。


これから、役所に掛け合うことになるが、
おそらくほぼ100%、大丈夫なはず。
あの時と変わらぬ熱意をもって、必ず実現に導きたい。

街づくり・景観 | comments(4) | trackbacks(0)

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COMMENTS

Posted by ofuu  at 2007/06/26 8:47 PM
何たる偶然!!!
らすからさんが実現させて以来、二度目の企画が
らすからさんが今の職場に異動になった後で持ち込まれるなんて
怖ろしいタイミングですよ、これは。
もはや偶然ではなく、必然、運命ですね。
最近やけにそういうことがあるみたいですね〜。
やはり彩雲は吉兆だったのですよ(笑)

8年前のらすからさんの頑張りように感動をもらいました。
そのイベントがまた行われるなんて素晴らしいことですね。
それにしても・・知らない振りで良いのですか??(笑)
今の担当者はご存知なくても前ご一緒だった方はいらっしゃらないのでしょうか。

“愚直に生きる”・・良い言葉を有難うございます。
邪念ばかりで難しいとは思いますが、目指して生きたいですね。
Posted by らすから/管理人  at 2007/06/27 12:12 AM
ofuuさん、こんばんわ。
凄い偶然でしょ?(苦笑)
当人の僕は、あまりにも“出来過ぎて”いて、
ホントに驚きました。

まさに、ofuuさんのコメントのとおりなんです。
異動先として、支店勤務を熱望していなければ、
支店でも、この支店に異動していなければ、
この支店でも、この課(職場)でなければ、そして
この課でも、僕が“偶然に”この電話を直接取らなかったら…
これら全ての“偶然”が重ならなかったら、
この記事を書くことがありませんでした。
そう考えると、怖い気がします。

そして、これまでの8年間、
川の中でのバンド演奏が行われてこなかったという“偶然”と、
今年、川の中でのバンド演奏が8年ぶりに行われるという“偶然”。
気味が悪い気もします(苦笑)。

仰るとおり、“偶然”で片付けられないですね。
“運命”かもしれないですね。

じつは、例の手相占い、先週末に行って来たのですが、
そこでも驚愕の内容が(笑)。
最近のブログの記事やコメントに関連する内容だったんです。
これについては、後日に。

この記事を書きながら、8年前を思い出していました。
懐かしさもありましたが、それよりも
これからも頑張ろうという意欲が、出てきました。
この当時も含めて、これまで頑張りすぎていましたから、
ご承知のとおり、今は充電期間。
今の間に、色彩や色彩を利用した街づくりの勉強をしっかりとして、
また行動を起こす近い将来に向けて、蓄えをしておかないと、
ということを決意しました。

いいんです。
知らない方が良いってことも、世の中多いですから(笑)。
今回は、縁の下の力持ちとして、下支えの役割をしようと思います。
メンバーは、ほぼ一新されていますから、
僕のことを知っている人は、少ないと思いますよ。

あの当時は、部会長として目立ってましたし、
表舞台に立たされておりました。
だから、というわけではないのですが、
しばらくの間、
愚直に生きようと思います(笑)。

Posted by o_sole_mio  at 2007/06/29 11:27 PM
ご無沙汰しています。一の坂川、桜の名所ですね。
地方のしかも小京都と呼ばれている伝統ある場所でのイベントでの新しい試み。
苦労があったと思います。その苦労が報われ、成果を形として実感されたこと
本当によかったと思います。そして少し羨ましい、と思いました。
そして年月がたって同じイベントに関わるようになったこと、これは山口の地が
らすからさんに感謝してのことだと思います。



Posted by らすから/管理人  at 2007/06/30 4:53 PM
o_sole_mioさん、ご無沙汰をしておりました。
相変わらず、お忙しい日々を送られておりますね。
海外出張も多く、充実の日々のことでしょう?
お体には、引き続きお気をつけください。

ねぎらいの、そして素敵なコメントをありがとうございました。
とても嬉しく思いました。
今回の“出来事”が、私に起きてくれたことだけで十分なのですが、
さらに記事にしたブログでもコメントをいただくと、
喜びが倍になります。

ご承知のとおり、その周辺一帯は、
保守的と揶揄されることも多い山口市の中でも、
さらに保守的な考えの多い人が居住する地区。
ですから、他のミニ・イベントを含めた斬新なイベントの実施には、
かなりの抵抗を受けました(苦笑)。

しかしながら、お客さんの反応は“逆”でして、
私やスタッフが実施したミニ・イベントは、どれも好評でした。
大手の新聞社や地元のテレビ局からも、
“街づくりに相応しいミニ・イベント”として、
取材も受けました(笑)。

イベント後、来年以降もスタッフとして残留してくれるよう慰留されました。
大変ありがたい申し出でしたが、
ここは私が一度身を引くことが、
実行委員会の幹部の顔を立てることになるだろうと思い、
お断りをしました。
こういう経緯もありますので、今回は、“縁の下”から支えようと思います。

元々、街づくりに関わりたい思って決断した転職・Uターン。
そして、街づくり活動にこれまで頑張ってた私に対して、
『これは山口の地がらすからさんに感謝してのことだと思います』
というコメントは、
この上ない幸せを感じたしだいです。

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