「私たちは、家畜じゃない!」
そのとおりだと思いました。
でも、こういう状況が、既に1ヶ月以上も経過しています。
避難者の方は、限界に近づいています。
なんとかならないのか。
自然災害が多いこの国の政府や官僚は、
不幸にして災害に遭った人達をケアする施策を、
何も持っていないことが、身をもってよく理解できた。
全く準備をしていない、準備を怠っていたと言わざるを得ない。
愚か者、としか言いようがない。
福島県は、原発問題だけではない。
岩手県や宮城県と同様に、地震や津波の被害も、
甚大である。
マスコミは、岩手県や宮城県ばかり採り上げるが、
福島県の津波の被害も、甚大であり、
地区が壊滅している所もある。
私が出会った20代男性。
彼は、生後11ヶ月の赤ちゃんを抱いていた。
奥さんは、津波に流されたのだという。
遺体は、まだ見つかっていない。
ある30代の女性は、家を新築し、
新居に引っ越す直前に、大地震が起き、
そして原発の関係で、
我が街を避難することになったという。
みんな、掴みかけていた“ささやかな幸せ”を
奪われてしまった。
そして、この避難所生活が追い討ちをかけている。
この劣悪な避難所生活は、“人災”である。
政府や政治家、官僚連中は、
この現実を、直視せよ。
困り果てている自国民を救えないで、
天下国家を語るとは、愚の骨頂である。
その中で、福島県庁や福島県内の市町村の職員は、
よく頑張っている。
国が全く当てにならない状況の中で、
独自に考え、そして避難者のために行動していた。
政府やマスコミが、いい加減な発言を繰り返し、
避難者に過度の期待を持たせては、裏切り、
そのしわ寄せが、地方公務員に押し寄せていた。
彼らの勤務は、早朝から深夜に及び、
時には24時間勤務もある。
休日は、その24時間明けのみである。
本当に、よく頑張っている。
福島県は、岩手県や宮城県と異なり、
地震、津波、原発、そして風評被害の四重苦に
悩まされている。
福島県は、岩手県や宮城県と異なり、
原発問題が現在進行形であり、
まだ復興に軸足を置けていないのである。
それでも、避難者の方も地方公務員も、
負けてなく、めげてなかった。
さらに、負けてなく、めげてないだけではない。
最終日に、私の福島滞在期間中の地元新聞を購入するため、
地元新聞の販売所に行った。
そこで、10日分購入した。
お金を支払い、帰り間際に、販売所の方に購入理由を聞かれたので、
私がボランティアで福島県に来たことを告げた。
すると、お金は要らないといわれた。
わざわざ他県からこの福島県民のために来てくれたのに、
お金をいただくわけにはいかない、ということだった。
私は、福島県民に迷惑をかけられないと、お金を戻そうとしたが、
販売所の方は、再度受け取ってくれることはなかった。
避難所にいるお爺さんに声をかけられた。
西日本から来たことを告げたところ、
「みんな原発のことで、福島から出て行っているのに、
福島に来てくれてありがとう」
と言われた。
別に、お爺さんが御礼を言うことではないのに。
どうして、福島の人が、こんなに苦しまなければならないのか。
そんな人達を、わずか10日間しか直接支援できず、
福島の地を去らなければならなかった私は、
己の無力さ、非力さを改めて思い知った。
自分が情けなく感じ、福島を去るバスの中で、
不覚にも、悔し涙が出てしまった。
悔しい。
また、福島県に戻りたい。
行く、のではない。
私にとって、もはや第3・第4の故郷も同然である。
私は、
私の今の気持ちを、上手に伝えることができない。
でも、猪苗代湖ズの『I love you & I need you ふくしま』の歌詞は、
福島県に関わる人達の気持ちを、
限りなく表現できていると思う。
I love you & I need you ふくしま
ふくしまに ふくしまに ふくしまに
置いてきたんだ 僕は 本当の自分を
ふくしまで ふくしまで ふくしまで
愛したいんだ 僕は 本当の君を
明日から 何かがはじまるよ ステキな事だよ
明日から 何かがはじまるよ 君のことだよ
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが好き
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが好き
ふくしまで ふくしまで ふくしまで
君が すばらしいってこと 確かめさせて
ふくしまで ふくしまで ふくしまで
夢みたいな 日々と 美しい君
明日から 何かがはじまるよ ステキな事だよ
明日から 何かがはじまるよ 君のことだよ
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが好き
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが好き
明日から 全てがはじまるよ 君の日々だよ
明日から 新しい日々だよ 君の日々だよ
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが好き
I love you baby 浜通り I need you baby 中通り
I want you baby 会津地方 ふくしまが好き
I love you baby 野馬追い I need you baby 赤べこ
I want you baby 鶴ヶ城 ふくしまが好き
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが
I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま
I want you baby 僕らは ふくしまが ふくしまが 好き!
「私を迎えている日本に背を向けて帰るなんて考えられなかった」
ということで、そのまま滞在の上、
関係者の間で協議を重ねた結果、
公演を開催することになりました。
来日公演は、15日から22日まで。
公演の最後の曲は、「True Colors」。
高校生のときから、ずっと好きな曲。
フィル・コリンズもカバーしている名曲ですね。
必要以上に強く ふるまうことなんてない
しつこくエールを出すけど がんばりすぎることもない
君が君らしくいて 初めて意味があるから
忘れないで欲しいのは その笑顔の源
負けない人になるより
負けてもまたそこから
気を取り直して やり直せる人になって
たとえ何度でも ふり出しに戻っても
はじめられる強さ それだけ持って
君が出してた SOS を 見逃してしまった時は
いくら謝っても足りない だからすぐに届けたい
何かやなことがあってひとりで涙ながしてはいないか
たたかうなら一緒にいるから どうかつないだまま
いまここにあるのは ありったけの愛
太陽の光さえ届かない場所でも
きみにとどけ、って私が照らしてるよ
だからほら 胸を張って歩きなさい
地震が起きて2時間後に、
大変仲の良い福島県庁の県職員に対し、
メールを送っていました。
今日の夕方、メールが返信されてきた。
内容は、とりあえず無事であったということ、
そして、翌日から今日まで、訳がわからないままに、
災害関係の仕事を続けてきた、というものでした。
メールの最後は、次の一文で終わっていました。
絶対に、乗り越えてみせる
苦境に直面した先人たちは、その都度、
海に四方“開けた”この国で、
自然を克服しようとするのではなく、
自然に畏怖の念を抱きながら、
自然とともに、生きてきました。
その積み重ねの結果が、
今日の私たちの生活を築いています。
そして、この美しい自然を、残してくれています。
今問われているのは、私たちの“これから”、
なのだと思います。
私たちは、先人たちに学びながら、
必ず、この苦境を乗り越えることができるものと
固く信じています。
先人たちの子孫である私たちには、
その力があるものと固く信じています。
先人たちが「ゆい」「もやい」で相互扶助の精神を養ってきたように、
私たちは、ボランティアの精神で、
地域の枠を超えた広域的な助け合いを、
実現できるものと信じています。
自然災害が大変多いこの国が、
助け合いによって、飛躍的に復興する姿を、
世界に見せることができる日がそう遠くないものと、
固く信じています。
そして。
その復興は、人間が自然を克服する形ではなく、
人間に危害を及ぼした自然とともに、
この地球において共に生きていく形であり、
この国の国民が、比類なき寛容の精神の持ち主であることを、
世界に示す日が、そう遠くないものであることを、
これまで温厚な姿しか見ることができなかった福島県職員の
力強い決意のメールを見て、
固く信じている。